おひとりさまは挑戦したい。

日々挑戦したりしなかったり。ミニマリストも目指してみるけど、うまくいくかどうかは分からない。

ゼレンスキー大統領と日本人の意識の違い

G7サミットに出席するためにゼレンスキー大統領が来日しました。広島の平和記念資料館に入った後、厳しい顔をしていたそうです。

 

第二次世界大戦といえば、おそらく大多数の日本人にとっては太平洋戦争を指すと思います。私も東京大空襲や広島、長崎などを思い出します。

 

たまたま目に入ったので手に取って読んでみた本があります。

「戦争は女の顔をしていない」という本です。

戦争に関わった女性たちに話を聞いてまとめているという内容です。

 

同じ第二次世界大戦でも、この本で扱われている戦争は独ソ戦です。ナチス・ドイツソビエト連邦の戦いです。

共にポーランドを占領していたのですが、ドイツがソ連に侵入して戦争が始まりました。通常の戦争は領土などを獲得できれば講和で終了するのですが、ヒトラースターリンという独裁者同士で行われたのは世界観の戦争です。イデオロギー(観念)が対立し、絶滅するまで戦い続ける戦争です。

 

この本ではソ連側の女性の話が書かれています。

パルチザン(ゲリラのようなもの)、衛生指導員、狙撃兵、機関銃射手、洗濯部隊などさまざまです。

意外だったのは、前線に行きたいと志願していた女性が多かった事です。行きたいと訴えて、採用されれば幸せな気持ちになったそうです。この辺りの心理はよく分からないのですが、政治の影響や侵略者を排除したい、現実感がなかったなど色々な要因があったのだと思います。

 

第二次世界大戦で日本の死傷者は270万人~300万人とされています。ドイツは600万人~1000万人、ソ連は2000万人~3000万人とされています。史上最悪の犠牲を出した戦争でした。

 

駅が爆撃され、列車に乗っていた3~4歳の子供達が森へと走って逃げていきます。そのすぐ後をドイツ軍の戦車が続いていく。そして、戦車の列が子供達を跡形もなく押し潰していく……ウクライナの名前も時々出てきます。凄まじい飢餓に襲われて餓死していったり、馬糞を食べて生きのびたり。

 

おそらく、ゼレンスキー大統領にとっての戦争は独ソ戦なのではないでしょうか。第二次世界大戦でも戦地となったウクライナ(その頃はまだソ連の一都市)は再び戦地になっています。資料館を見学して、核が落とされればどうなるか、改めて考えたのだと思います。

日本のように、戦争を体験した人は高齢となっている人ばかりだったはずです。でも今、生きている子供が戦争を体験しているのです。

 

日本人が独ソ戦をあまり知らないように、ウクライナの人も太平洋戦争をあまり知らないのかもしれません。もしかしたら、核を落とされた後の悲劇も。チェルノブイリがあるので放射能の怖さは知っているかもしれませんが。

 

今のプーチン大統領を見ていると、同じ事が繰り返されないか不安になってきます。

 

「戦争は女の顔をしていない」スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著は、マンガ版が4巻まで出ているので、そちらの方が読みやすいかもしれません。

その中にこういう一文がありました。

 

『「幸せって何か」と訊かれるんですか?私はこう答えるの。殺された人ばっかりが横たわっている中に生きている人が見つかること……』